即日で現金化?ファクタリングの甘い誘惑と本当のリスクを経営者目線で語ってみた

こんにちは!株式会社ドゥアイの土居です。
いやー、しかし毎日暑いですね。経営者の皆さん、資金繰り、頑張ってますか?(笑)まあ、笑い事じゃないんですけど、会社の金庫番としては、日々数字とのにらめっこが続くわけです。
特に、中小企業の経営者にとって、資金繰りってほんまに頭の痛い問題やと思うんですよね。「月末の支払いが迫ってるのに、売掛金の入金がまだ先…」「急な仕入れでまとまった現金が必要になった…」なんていう経験、一度や二度じゃないはずです。
そんな時、インターネットで資金調達の方法を検索すると、必ずと言っていいほど目にするのが「ファクタリング」っていう言葉。しかも、「最短即日で現金化!」「審査甘い!」「担保・保証人不要!」なんていう、めちゃくちゃ魅力的な言葉が並んでるわけです。
これ、ほんまかいな?と。うますぎる話には裏がある、ってのが世の常じゃないですか。まあ、僕も経営者の端くれとして、この「即日ファクタリング」っていうサービスには、正直なところ、ちょっと懐疑的なんですよね。
そこで今回は、この「即日ファクタリング」っていう甘い誘惑の裏に隠された、本当のリスクについて、僕自身の経営者としての視点から、本音で語ってみたいと思います。資金繰りに悩む全国の経営者仲間たちに、少しでも参考にしてもらえたら嬉しいです。
目次
そもそもファクタリングって何なん?仕組みをざっくり解説
まず、基本的なところからおさらいしときましょうか。「ファクタリング」っていうのは、一言で言うと「売掛債権の売買」です。
会社が商品やサービスを提供すると、「売掛金」っていう、後でお金をもらえる権利が発生しますよね。でも、その入金サイトが30日後とか60日後やと、その間、会社には現金が入ってこない。この「待ち」の時間が、資金繰りを圧迫する原因になるわけです。
そこで登場するのがファクタリング会社。彼らは、その売掛金を「手数料」を差し引いた金額で買い取ってくれるんです。つまり、会社としては、入金日まで待たなくても、すぐに売掛金を現金化できる、というわけです。
ポイントは、これが「融資」ではない、ということ。銀行からお金を借りるわけやないんで、貸借対照表上、負債が増えることはありません。あくまで、資産(売掛金)を売却して現金化してるだけ。だから、審査も銀行融資に比べて緩やかで、スピーディーな資金調達が可能になる、という理屈です。
特に「即日ファクタリング」は、このスピード感を極限まで高めたサービス。申し込みから審査、入金までをオンラインで完結させて、最短数十分で現金を振り込む、なんていう業者もいるくらいです。
まあ、仕組みとしては非常にシンプルで、分かりやすいですよね。問題は、この「手軽さ」と「スピード」の裏に、どんな代償が隠されているのか、ということです。
即日ファクタリングの「甘い誘惑」メリットを改めて整理
リスクの話をする前に、まずは即日ファクタリングのメリット、つまり「甘い誘惑」の部分を、改めて整理しておきましょう。経営者にとって、これがどれだけ魅力的に映るか、よう分かりますから。
圧倒的な資金調達スピード
これはもう、最大のメリットですよね。銀行に融資を申し込んだら、審査だけで数週間、長ければ1ヶ月以上かかることもザラです。その点、即日ファクタリングは、文字通り「即日」。朝申し込んだら、午後には現金が振り込まれてる、なんてことも可能になるわけです。
「来週の支払いがどうしても足りん!」みたいな、緊急事態に陥った経営者にとっては、まさに「救世主」に見えるやろうな、と思います。
審査のハードルが低い
銀行融資の場合、会社の決算書や事業計画書を精査されて、赤字決算や税金の滞納があったりすると、まず審査に通りません。でも、ファクタリングの審査で重視されるのは、自社の信用力よりも「売掛先の信用力」なんです。
極端な話、自社が赤字でも、売掛先が上場企業とか、信用力の高い会社であれば、審査に通る可能性は十分にある。これは、銀行から見放されてしまった中小企業にとっては、大きな魅力やと感じます。
担保・保証人が不要
銀行から融資を受ける際には、不動産を担保に入れたり、経営者自身が連帯保証人になったりするのが一般的です。でも、ファクタリングは売掛金の売買契約なので、原則として担保も保証人も必要ありません。
経営者個人が会社の借金を背負うリスクを負わなくて済む、というのは、精神的な負担を大きく軽減してくれますよね。
信用情報に影響しない
ファクタリングは融資ではないので、信用情報機関に履歴が残ることはありません。将来的に銀行から融資を受けたいと考えている場合に、ファクタリングの利用が足かせになることはない、というわけです。
まあ、こうやって並べてみると、ええことずくめのように見えますよね。でも、うまい話には必ず裏がある。次章では、いよいよこの甘い誘惑の裏に潜む「本当のリスク」について、詳しく見ていくことにしましょう。
ここからが本題!経営者が見るべき「本当のリスク」
お待たせしました。ここからが本題です。即日ファクタリングの甘い誘惑に飛びつく前に、経営者として絶対に知っておかなければならない、3つの大きなリスクについて解説します。
高すぎる手数料という名の落とし穴
まず、一番の問題は、何と言っても「手数料」の高さです。即日ファクタリングは、そのスピードと手軽さの代償として、非常に高い手数料が設定されています。
ファクタリングには、大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。それぞれの一般的な手数料相場は、以下の通りです。
ファクタリングの種類 | 手数料相場 | 特徴 |
---|---|---|
2社間ファクタリング | 10% 〜 20% | 利用者とファクタリング会社の2社間での契約。売掛先に通知されないため、取引関係に影響を与えにくい。 |
3社間ファクタリング | 1% 〜 9% | 利用者、ファクタリング会社、売掛先の3社間での契約。売掛先の承諾が必要だが、手数料は安い。 |
即日ファクタリングで主に利用されるのは、手続きが簡単な「2社間ファクタリング」です。その手数料相場は、なんと10%〜20%。中には、30%近い法外な手数料を要求する悪質な業者もいるようです。
考えてみてください。100万円の売掛金を現金化するために、20万円もの手数料を支払うわけです。これって、年利に換算したら、とんでもない高金利になりますよね。例えば、入金サイトが1ヶ月(30日)の売掛金を、手数料20%でファクタリングした場合、その年利は単純計算で240%にもなります。
「一般的な相場としては、10~20%程度というケースが多いです。 ただし、売掛先の信用度が高い場合には、10%以下で契約できることもあります。逆に、取引実績が…」 [1]
目先の現金欲しさに、こんな高コストな資金調達を繰り返していたら、どうなるか。あっという間に利益が吹き飛んで、かえって資金繰りを悪化させることになりかねません。まさに、負のスパイラルです。
取引先にバレる?2社間と3社間の違い
次に、取引先との関係性の問題です。先ほど説明した通り、ファクタリングには2社間と3社間の2種類があります。
手数料が安い「3社間ファクタリング」を利用する場合、売掛先(取引先)の承諾を得て、債権譲渡通知を送る必要があります。つまり、取引先に「この会社、ファクタリング使わなアカンくらい資金繰り厳しいんやな」って思われてしまうリスクがあるわけです。
もちろん、ファクタリングは合法的な資金調達手段なので、それ自体が悪いわけではありません。でも、日本の商習慣の中では、まだまだネガティブなイメージを持つ人が多いのも事実。これが原因で、今後の取引に影響が出てしまう可能性もゼロではない、と考えます。
一方、「2社間ファクタリング」なら、取引先に通知する必要はありません。でも、その分、ファクタリング会社にとっては、売掛金の回収リスクが高まる。だから、手数料も高くなる、というわけです。さらに、契約内容によっては、債権譲渡登記が必要になる場合もあり、そうなると法務局の登記情報を誰でも閲覧できるので、間接的に取引先に知られてしまう可能性も残ります。
この「取引先に知られるリスク」と「手数料の高さ」を天秤にかけて、どちらを選択するのか。非常に悩ましい問題やと思います。
悪質業者に要注意!違法なヤミ金との見分け方
そして、最も警戒すべきなのが、「悪質な業者」の存在です。ファクタリング業界は、法整備がまだ追いついていない部分もあって、残念ながら、ファクタリングを装ったヤミ金業者が紛れ込んでいるのが現状です。
金融庁も、公式に注意喚起を行っています。
「悪質な業者から、業務の平穏を害するような取立てが行われるおそれがあります。 最高裁判所の判例では、権利の実行について、権利の範囲又は社会通念上一般に、忍容すべ…」 [2]
では、どうやって悪質な業者を見分ければいいのか。いくつかポイントを挙げておきます。
- 手数料が相場から著しく逸脱している:2社間ファクタリングで30%を超えるような手数料を提示されたら、まず間違いなく悪質業者です。
- 契約書の内容が不明瞭:手数料の内訳や、償還請求権(※後述)の有無など、重要な項目について曖昧な説明しかしない業者は危険です。
- 償還請求権(リコース)がある契約を求めてくる:ファクタリングは、本来、売掛先が倒産しても、そのリスクはファクタリング会社が負う「ノンリコース」が基本です。もし、売掛先が倒産した場合に、利用者に対して支払いを求めてくる「リコース契約」を提示されたら、それは実質的な「貸付」であり、貸金業登録のない業者が行えば違法になります。
- 給与ファクタリングを謳っている:個人が受け取る給与を対象とした「給与ファクタリング」は、貸金業に該当すると最高裁判所で判断されています。貸金業登録をせずにこれを行っている業者は、100%ヤミ金です。
甘い言葉に誘われて、安易に契約してしまうと、法外な手数料を請求されたり、悪質な取り立てに遭ったりする可能性があります。会社を守るためにも、業者選びは慎重すぎるくらい慎重に行うべきです。
それでもファクタリングを使うべき時とは?
ここまで、即日ファクタリングのリスクについて、散々おどすようなことを書いてきました。じゃあ、ファクタリングは絶対に使うべきではないのか?というと、僕は必ずしもそうは思いません。
どんな金融サービスにも、メリットとデメリットがあります。重要なのは、その特性を正しく理解した上で、自社の状況に合わせて、適切に活用することです。
僕が考える、即日ファクタリングが有効なケースは、以下の2つです。
1. 黒字倒産を回避するための「緊急輸血」
帳簿上は利益が出ているのに、手元の現金が不足して支払いができなくなり、倒産してしまう。いわゆる「黒字倒産」です。これは、中小企業にとって、常に隣り合わせの危機と言えます。
例えば、大型案件を受注して、売上は大きく立った。でも、その入金が数ヶ月先。一方で、仕入れ先への支払いや、従業員の給与支払いは待ってくれない。こんな状況で、銀行融資も間に合わない、となったら、もう打つ手なしです。
こういう、まさに「死ぬか生きるか」の瀬戸際において、即日ファクタリングは、まさに「緊急輸血」として機能します。高い手数料を払ってでも、目先の倒産危機を回避できるなら、利用する価値は十分にある、と考えます。
ただし、これはあくまで緊急避難的な措置。恒常的にファクタリングに頼るような資金繰りをしていては、いずれ立ち行かなくなる、ということは肝に銘じておくべきです。
2. 大きなビジネスチャンスを掴むための「先行投資」
もう一つは、目の前に大きなビジネスチャンスが転がっているのに、手元資金が足りないために、そのチャンスを逃してしまいそうなケースです。
例えば、「今すぐこの原材料を大量に仕入れられれば、大きな利益が見込める新商品を開発できる」とか、「この大型案件を受注できれば、会社の成長に繋がる大きな実績になる」といった状況です。
こういう場面で、銀行融資を待っていては、チャンスを逃してしまうかもしれない。そんな時に、即日ファクタリングで一時的に資金を調達し、先行投資を行う。そして、その投資によって得られる将来の大きなリターンで、手数料コストを十分にカバーできる、という明確な算段があるのであれば、それは「賢い活用法」と言えるかもしれません。
要するに、ファクタリングで調達した資金を、手数料以上の価値を生み出すために使えるかどうか。そこが、利用を判断する上での、重要な分かれ目になるんやないでしょうか。
おわりに:賢い資金調達で会社を守るために
今回は、即日ファクタリングの甘い誘惑と、その裏に潜む本当のリスクについて、僕なりの視点で語らせてもらいました。
結論として、僕が言いたいのは、「即日ファクタリングは、劇薬のようなもの」だということです。正しく使えば、命を救うこともある。でも、使い方を間違えれば、逆に命を縮めることにもなりかねない。
資金繰りに悩む経営者の皆さんには、まず、安易に即日ファクタリングに飛びつく前に、自社の資金繰りの状況を冷静に分析し、本当にそれが必要なのか、他に選択肢はないのか、を徹底的に考えてほしいと思います。
そして、もし利用する際には、複数の業者から相見積もりを取り、契約内容を隅々まで確認し、少しでも怪しいと感じたら、迷わず専門家に相談すること。その慎重さが、あなたの大切な会社を、悪質な業者の魔の手から守ることになります。
資金調達の方法は、ファクタリングだけではありません。銀行融資、制度融資、補助金・助成金、クラウドファンディングなど、様々な選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、自社の状況に最適な方法を組み合わせる。それこそが、経営者に求められる「賢い資金調達」やと、僕は考えます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
[1] ファクタリングの手数料はどう決まる?相場・安くする方法・仕訳
[2] ファクタリングの利用に関する注意喚起 – 金融庁