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中小企業の皆さん、ファクタリングって知ってます?認知度30%未満の現実と、なぜ今知っておくべきなのか

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こんにちは!株式会社ドゥアイの土居です。

最近、中小企業の経営者の方から資金繰りに関する相談を受けることが本当に多くなりました。特にコロナ禍以降、「銀行融資の審査が厳しくなった」「入金までの期間が長くて困っている」といった声をよく聞くんですよね。

そんな中で、私がよく提案するのが「ファクタリング」という資金調達方法なんですが、これがまた驚くほど知られていない。「ファクタリング?何それ?」という反応がほとんどです。

実は先日、ある調査結果を見て愕然としたんです。ファクタリングの認知度がわずか23%程度で、しかも「良い印象を持っている」という人は30%にも満たないという現実。5.7兆円という巨大な市場規模を持つ資金調達手段なのに、これほど知られていないとは。

まあ、確かにファクタリングって名前からして何だか難しそうですし、「怪しい」「胡散臭い」というイメージを持たれがちなのも事実です。でも、これって本当にもったいない話だと思うんですよね。

今回は、この認知度の低さという問題について深く掘り下げて、なぜ中小企業の皆さんがファクタリングを知っておくべきなのか、そして正しい理解を持つことの重要性について、お話ししたいと思います。

ファクタリングの認知度、その衝撃的な現実

まず、具体的な数字から見ていきましょう。

2024年9月にrimad株式会社が実施した「資金調達に関する調査」によると、全国の20〜60代の男女104名を対象とした調査で、ファクタリングを資金調達方法として認知している人はわずか24人、つまり約23%という結果でした。

これ、どう思います?民間金融機関の認知度が86人(約83%)、クラウドファンディングが73人(約70%)という中で、ファクタリングの23%という数字は明らかに低すぎますよね。

さらに驚くべきは、実際にファクタリングを検討したことがある人が7人(約7%)、利用したことがある人に至ってはたったの2人(約2%)という現実です。これはもう、ほとんど知られていないと言っても過言ではないでしょう。

でも、もっと深刻なのは印象の問題です。同調査によると、ファクタリングに対して「良い印象を持っている」人は合計でも29.8%、つまり30%未満という結果。一方で「あまり良い印象はない」が32.7%、「わからない(知らない)」が33.7%となっています。

つまり、知らない人が多いだけでなく、知っている人の中でも良い印象を持っていない人が多いということなんです。

この状況について、中小企業庁も問題視しています。2020年12月の「中小企業庁 約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」の資料では、「現状認知度が低い、事業者への周知、利活用促進の必要性」と明確に指摘されているんです。

国の機関が認める認知度の低さ。これは単なる民間の問題ではなく、日本経済全体の課題として捉えるべき問題だと考えます。

なぜこんなに認知度が低いのか?その根本的な理由

では、なぜファクタリングの認知度がこれほど低いのでしょうか。私が現場で感じている理由をいくつか挙げてみたいと思います。

「怪しい」「胡散臭い」というイメージの根深さ

まず一番大きいのは、やはりイメージの問題ですね。ファクタリングと聞くと、多くの人が「何だか怪しい」「胡散臭い」と感じてしまう。

実際、先ほどの調査でも衝撃的な数字が出ています。ファクタリングが合法であることを知らない人が55.8%、つまり半数以上の人がファクタリングの合法性すら知らないんです。

これって、すごく問題だと思うんですよね。合法的な取引なのに、多くの人が「違法かもしれない」「グレーゾーンかもしれない」と思っている。そりゃあ、利用を検討する人が少ないのも当然です。

情報不足と誤解の連鎖

次に、圧倒的な情報不足があります。銀行融資については学校でも習いますし、メディアでも頻繁に取り上げられます。でも、ファクタリングについて詳しく説明している情報源って、実はそれほど多くないんです。

その結果、断片的な情報や間違った情報が一人歩きしてしまう。「手数料が高い」「危険な取引」といった部分的な情報だけが広まって、全体像が見えなくなってしまっているんですね。

業界の歴史の浅さ

日本でオンライン型ファクタリングが本格的に始まったのは、実は2017年にOLTA株式会社が参入してからなんです。つまり、まだ10年も経っていない比較的新しい業界なんですよね。

銀行融資が何百年という歴史を持つのに対して、ファクタリングはまだまだ新参者。認知度が低いのも、ある意味当然かもしれません。

悪質業者の存在

残念ながら、ファクタリング業界には一部悪質な業者も存在します。高額な手数料を請求したり、違法な取り立てを行ったりする業者がいることも事実です。

こうした悪質業者の存在が、業界全体のイメージを悪化させている面もあるんです。一部の悪い事例が全体の印象を決めてしまう、というのはよくある話ですが、ファクタリング業界でもそれが起きているということですね。

でも、これって本当にもったいない話だと思うんです。正しく理解して、優良な業者を選べば、ファクタリングは中小企業にとって非常に有効な資金調達手段になるんですから。

ファクタリングの正しい理解〜実は民法に基づく合法的な取引です

ここで、ファクタリングについて正しく理解していただきたいと思います。

民法に明記された合法的な取引

まず最初に言っておきたいのは、ファクタリングは完全に合法的な取引だということです。これは民法第466条に明記されている「債権譲渡」に基づく取引で、法的な根拠がしっかりとあります。

具体的には、企業が持っている売掛金(将来入金される予定のお金)を、ファクタリング会社に売却することで、即座に現金を得るという仕組みです。これは「借金」ではなく「売買」なんですね。

だから、貸金業法や利息制限法、出資法といった貸金業者向けの法律は適用されません。ファクタリング会社も貸金業登録は不要です。これは金融庁も明確に認めていることなんです。

銀行融資との根本的な違い

よく「ファクタリングと銀行融資、どちらがいいの?」と聞かれるんですが、これって実は比較するものじゃないんですよね。根本的に仕組みが違うんです。

銀行融資は「お金を借りる」取引です。だから返済義務があるし、利息も発生します。審査では企業の信用力が重視されるので、業績が悪い企業や創業間もない企業は審査に通りにくい。

一方、ファクタリングは「売掛金を売る」取引です。返済義務はありませんし、利息という概念もありません(手数料はかかりますが)。審査では売掛先の信用力が重視されるので、自社の業績が悪くても、売掛先がしっかりした企業であれば利用できる可能性が高いんです。

スピードと柔軟性という大きなメリット

ファクタリングの最大のメリットは、何といってもスピードです。銀行融資だと審査に数週間から数ヶ月かかることも珍しくありませんが、ファクタリングなら最短即日、遅くても数日で資金調達が可能です。

これって、中小企業にとっては本当に大きなメリットなんですよね。急な資金需要が発生した時、「来月まで待ってください」なんて言ってられないじゃないですか。

また、必要な分だけ利用できる柔軟性も魅力です。100万円の売掛金があって、そのうち50万円だけ現金化したいという場合でも対応可能。銀行融資だと、こういう細かい調整は難しいですからね。

実際の利用シーンを考えてみる

具体的にどんな時に使うのか、例を挙げてみましょう。

例えば、製造業のA社が大手企業から1000万円の受注を受けたとします。でも、支払いは3ヶ月後。一方で、材料費や人件費は今すぐ必要。こんな時、ファクタリングを使えば売掛金を現金化して、すぐに材料を仕入れることができます。

あるいは、IT企業のB社が新しいプロジェクトを受注したけど、開発チームを拡充するための資金が必要。でも銀行融資の審査を待っている時間はない。こんな時もファクタリングが威力を発揮します。

つまり、ファクタリングは「時間を買う」取引とも言えるんです。将来入ってくるお金を、今すぐ使えるお金に変える。これって、経営のスピードが求められる現代において、非常に価値のあるサービスだと思うんですよね。

ファクタリングについてより詳しく知りたい方は、ファクタリングとは?5つの大きな誤解をわかりやすく解消【図解付き】という記事も参考になりますので、ぜひご覧ください。

中小企業が今、ファクタリングを知っておくべき理由

では、なぜ今、中小企業の皆さんがファクタリングを知っておくべきなのか。その理由を詳しく説明していきます。

5.7兆円市場の成長性が示す将来性

まず注目していただきたいのが、市場規模の大きさです。アンクパートナーズ合同会社の調査によると、2023年度の日本のファクタリング市場規模は約5.7兆円と推計されています。

5.7兆円ですよ?これがどれくらい大きな数字かというと、例えば日本の自動車産業の市場規模が約60兆円ですから、その約10分の1に相当します。決して小さな市場ではありません。

しかも、この市場は年平均成長率7.54%で拡大を続けているんです。認知度は低いのに、市場は確実に成長している。これって、まさに「知る人ぞ知る」状態なんですよね。

世界に目を向けると、2023年の世界のファクタリング市場規模は約3兆8,500億米ドル。日本の市場はまだまだ成長の余地があるということです。

資金繰り改善の具体的メリット

先ほどの調査で、資金調達の目的として最も多かったのが「資金繰りの改善」(28.8%)でした。これって、まさにファクタリングが得意とする分野なんです。

中小企業の経営者なら誰でも経験があると思いますが、売上は上がっているのに手元にお金がない、という状況。これ、本当に辛いですよね。特に成長期の企業ほど、この問題に直面しやすい。

ファクタリングを使えば、売掛金を即座に現金化できるので、キャッシュフローの改善に直結します。これまで「入金を待つしかない」と諦めていた状況を、「今すぐ現金化する」に変えることができるんです。

コロナ禍で注目された背景

実は、ファクタリングが大きく注目されるようになったのは、コロナ禍がきっかけでした。感染リスクを避けながら資金調達ができる、オンライン完結型のサービスとして脚光を浴びたんです。

コロナ禍では、多くの企業が資金繰りに苦しみました。でも、銀行に行くのもリスクがある、審査にも時間がかかる。そんな中で、オンラインで迅速に資金調達できるファクタリングは、まさに救世主のような存在だったんです。

中小企業庁の資料でも「感染リスクを避けながら中小・地域経済の支援が可能」として、ファクタリングの有効性が認められています。

世界的な潮流との比較

海外に目を向けると、ファクタリング(Invoice Finance)はもっと一般的な資金調達手段として認知されています。

例えば、アメリカではBlueVineやFundboxといった企業が数百億円規模の資金調達を行っていますし、ヨーロッパでも多くの企業がファクタリングを活用しています。

日本では2017年にOLTAが国内初参入したばかりですが、海外では2010年代前半から本格的なサービスが始まっています。つまり、日本は世界的な潮流に比べて、まだ遅れている状況なんです。

でも、これって逆に言えば、これから大きく成長する可能性があるということでもあります。海外の事例を見れば、ファクタリングが中小企業の資金調達において重要な選択肢になることは間違いありません。

金融機関との関係性の変化

最近、興味深い動きも見られます。従来、ファクタリングは銀行融資の代替手段として位置づけられることが多かったんですが、最近では金融機関自体がファクタリング事業に参入するケースが増えています。

これって、金融機関もファクタリングの価値を認めているということなんですよね。単なる競合ではなく、補完的な関係として捉えられるようになってきている。

つまり、「銀行融資かファクタリングか」ではなく、「銀行融資もファクタリングも」という時代になってきているんです。選択肢が増えるのは、中小企業にとって間違いなくプラスですよね。

今後の法制度整備への期待

2020年の民法改正により、債権譲渡に関する法律が明確化されましたが、今後さらなる法制度の整備が期待されています。

業界の健全な発展のためには、適切な規制と保護が必要です。現在、業界団体や政府機関で様々な検討が行われており、より安心して利用できる環境が整備されつつあります。

こうした動きを見ていると、ファクタリングは一時的なブームではなく、中小企業の資金調達において恒久的な選択肢として定着していくと考えられます。だからこそ、今のうちに正しい知識を身につけておくことが重要なんです。

正しい業者選びのポイント〜安全に利用するために

ファクタリングの価値を理解していただいたところで、実際に利用する際の注意点についてお話しします。残念ながら、業界には一部悪質な業者も存在するのが現実です。

優良業者の見分け方

まず、優良業者の特徴を挙げてみましょう。

透明性の高い手数料体系:優良業者は手数料を明確に提示します。「審査後に決定」ではなく、ある程度の目安を事前に示してくれる業者を選びましょう。

適切な審査プロセス:あまりにも審査が甘すぎる業者は要注意です。売掛先の信用調査をしっかり行う業者の方が、長期的には安心できます。

契約内容の説明が丁寧:契約書の内容を詳しく説明してくれる、質問に対して誠実に答えてくれる業者を選びましょう。

注意すべき悪質業者の特徴

一方で、こんな業者には注意が必要です。

異常に高い手数料:手数料が20%を超えるような業者は避けた方が無難です。適正な手数料は、一般的に2%〜15%程度とされています。

契約を急かす:「今日中に契約しないと条件が変わる」などと急かす業者は危険です。優良業者は十分な検討時間を与えてくれます。

償還請求権あり:ファクタリングは本来、売掛先が倒産しても利用企業に請求されない(償還請求権なし)取引です。償還請求権ありの契約は、実質的に融資と変わりません。

安全に利用するための基本知識

ファクタリングを安全に利用するために、最低限知っておくべきことをまとめておきます。

まず、複数の業者から見積もりを取ること。手数料だけでなく、サービス内容や対応の質も比較検討しましょう。

次に、契約書は必ず熟読すること。分からない点があれば、遠慮なく質問してください。優良業者なら、丁寧に説明してくれるはずです。

そして、業界団体に加盟している業者を選ぶのも一つの方法です。日本ファクタリング業協会などの団体に加盟している業者は、一定の基準をクリアしていると考えられます。

まとめ〜認知度向上が日本経済の発展につながる

ここまで、ファクタリングの認知度の低さという問題について、様々な角度から考察してきました。

認知度わずか23%、良い印象を持つ人は30%未満、合法性を知らない人が半数以上。この現実は、確かに深刻な問題です。でも、だからこそチャンスでもあるんですよね。

5.7兆円という巨大な市場が、まだまだ成長の余地を残している。正しい知識を持った中小企業が増えれば、日本経済全体の活性化にもつながるはずです。

中小企業の皆さんには、ぜひ一度ファクタリングについて調べてみていただきたいと思います。今すぐ利用する必要はありません。でも、「こんな選択肢もあるんだ」ということを知っておくだけで、いざという時の対応が変わってきます。

資金繰りに悩んだ時、「銀行融資しかない」と思い込まずに、「ファクタリングという手もある」と考えられるようになる。それだけで、経営の選択肢は大きく広がるんです。

認知度の向上は、業界全体の課題でもあります。私たちのような情報発信者も、もっと積極的に正しい情報を伝えていく必要があるでしょう。

ファクタリングが、中小企業にとって当たり前の選択肢になる日が来ることを願っています。そのためにも、まずは正しい理解から始めていきましょう。


参考資料